『Google Books』や『Twitter』、ポピュラー・ソングの歌詞、『The New York Times』紙にまたがる大規模な言語学的調査の結果、英語社会には物事の明るい面を見ようとする傾向があることが明らかになった。
英語の根底にある感情的および社会的構造に関する過去の研究からは、矛盾する結果が得られていた。比較的小規模の分析からは、頻繁に使われる単語には、否定的ではなく肯定的な感情的連想が伴いがちだという結果が出た。これは一般に「ポリアンナ(パレアナ)仮説」と呼ばれ、楽観的で好ましい考えは悲観的で否定的な感情よりも簡単に広まるというものだ。一方で、実験環境では、感情を伝えるように促された被験者は否定的になる傾向が強かった。
バーモント大学のイザベル・クローマンが率いる研究チームは、この問題に圧倒的な数学の力で挑むことにした。チームが分析したのは、テクストを扱う4つの巨大なデータベースだ――Google Booksからは329万冊(3,610億ワード)、2008年から2010年までのTwitterの投稿(8億2,100万件で90億ワード)、1987年から2007年までのNew York Times紙の記事(180万件で10億ワード)、さらに295,000曲のポピュラー・ソングの歌詞(5,860万ワード)だ。チームは、媒体ごとに最もよく使われる5,000ワードのリストを作成した。(論文はこちら)
リストに登場した単語は合わせて10,122ワードになった。チームは米Amazon社の労働力アウトソーシング・サービス『Mechanical Turk』を利用して、それぞれの単語が否定的か肯定的かを、1から9までの9段階で、50人の個別の人に判断してもらった。たとえば、「テロリスト」の語は平均で1.30の評価を得たが、「笑い声」は平均8.50で、あらゆる単語のうちの最高点をマークした。
結果を総合すると、肯定的なニュアンスのある単語は、否定的なものよりも数が多く、しかも頻繁に使われていた。この結果は、「肯定的なものへの偏向が普遍的であることを示している」と、クローマン氏らのチームは書いている。「われわれは発話や記述において、肯定的なコミュニケーションを行う傾向がある」
この論文は多くの疑問を喚起するものだ。否定的な傾向のある言語環境で生活し学習すると、どうなるのだろうか? 言語の感情への影響は、文化的規範や社会的特徴とどのように関係しているのだろうか?
ほかの言語や方言も調査する必要がある、とクローマン氏らのチームは書いている。また、個々の単語ではなく、句や文のレベルでも同様に正確な研究が必要だとしている。
quotaion wierd Japanese Edition
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